大京都モダニズム観光

“大京都”はいかにつくられた？
大正から昭和初期の、案内書や地図、絵はがきなどを探索。
いざ、時空を超え、いにしえの都へ??

京都新聞の好評連載、待望の書籍化！

■【複製縮刷】京都鳥瞰図付き
吉田初三郎が作図を担当した『洛東洛西洛南洛北　京都名所交通図絵』より、『洛東交通名所図絵』『洛西交通名所図絵』を、ほぼ実寸サイズ、長さ777ミリ蛇腹型式で綴じ込みました。

【目次】
はじめに
■第一章　大京都鳥瞰
〈洛中洛外の近代〉・新旧名所 鳥の目で街の全体像描く／・大胆な構図「大正の広重」人気博す／・児童用交通図「活用せられる感激」／・鉄路や川筋 大京都のパノラマ／・広がる市域、洛内外に「日本」満ちる
コラム１　漫画絵はがきにみる京都
■第二章　春夏秋冬
〈桜花繚乱〉・天下無比 花の都をスターが紹介／・嵐山で「桜狩」 新京阪がお膳立て／・自然と古典、二つの雅 醍醐の宴
〈夏の行楽〉・鴨川の床、緑蔭 「いたるところ爽涼」／・湖岸に鉄路、「水恋ふる都人の天国」／・ケーブルカーと一体 山上の涼ＰＲ
〈秋の粧い〉・化粧品会社と提携 景品付き周遊券／・紅葉の沿線へ「進軍いざ！出かけやう」／・「忠勇武烈」菊人形は日本の誇り
〈冬は京都へ〉・雪景色、梅花、スキーも「千年の歴史」／・市街から半時間で白銀パラダイス／・湖西のゲレンデで「鍛へよ心身！」
コラム２　沿線の情報雑誌『京阪』
■第三章　京洛の楽しみ
〈京舞妓〉・伝統継承と観光振興を担う／・京の祝祭に欠かせぬ「都をどり」／・少女歌劇全盛、花街でもレビュー
〈キネマとレビュー〉・太秦に「東洋のホリウッド」出現／・歓楽郷・新京極で芝居も映画も／・歌舞伎と少女歌劇、南座賑わす

〈京名物・京土産〉・「名物はうまいものなり」名店列記／?駅前にデパート 名所の一つに／・英文地図で「信頼できる店」紹介
〈夜の新名所〉・繁華街の街路灯「真に輝やかしく」／・四条大橋の光と音、京の「心臓」／・電気照明が変えた名勝地の夜景
〈博覧都市岡崎〉・勧業博を機に祝祭空間へ変貌／・会場一帯は「不夜城」のごとし／・勧業目的から家族向けの催しへ／・本邦初のロボット話題をさらう／・都大路を行く百花爛漫 女性絵巻
〈遊園地へ行こう〉・ケーブルで十一分、愛宕山頂の楽園へ／・春限定で花苑公開、「沸き立つ絶賛」／・人工滝や飛行塔「パラダイス」出現
コラム３　旅を彩る駅弁当
■第四章　交通と宿
〈観光バスは巡る〉・「東洋初」の試み 大宣伝も時期尚早／・旅客独占へ鉄道会社がバス事業／・女子案内人同行、理想的遊覧うたう／・小型も登場 乗り心地やコース競う
〈川下り〉・保津川の主役、荷船から遊船へ／・船、鉄道、車で結ぶ広域ルート／・笠置山巡りと「木津川ライン」
〈修学旅行〉・「地球は庭なり」少年よ旅に出よ／・サービス多彩、誘致競う京の宿／・小型遊覧自動車で安く早く楽に
〈旅の宿〉・リストにずらり「客本意の安息所」／・設備や居心地 ＰＲに絵はがき活用／・交通発達で「近畿の御遊覧拠点に」／・島巡り、湖上遊覧 旅客増に対応
〈ホテルライフ〉・地上七階新館「民衆的」サービスで／・千年の歴史眺望「和のおもてなし」／・「東洋のゼネバ」で本格リゾート ／・利便性が高く、民衆的な駅前型
コラム４　広告媒体としてのマッチラベル
■第五章　御所と皇陵
〈御所拝観〉・「御大礼」で特別公開、人波絶えず／・沸き立つ洛中、御苑一帯は厳粛に／・式場跡見学に全国から団体ツアー
〈皇陵巡拝〉・明治天皇しのび国民一路桃山へ／・陵墓参拝、大阪の実業家ら支援／・聖蹟史蹟ハイキングで健康増進
■第六章　近江と丹後
〈麗湖琵琶〉・秀麗富士と双璧「本邦一の遊覧地」／・優美な外観や設備 競う汽船会社・鉄道と連結、大阪直通「びわこ号」も／・御柱や日章旗 新名所に「物語」刻む
〈宇治川ライン〉・鉄道延伸「散策の地」賑わい到来／・遊覧船で琵琶湖へ 新ルート開拓／・ダム湖や発電所 景観に新たな価値
〈天橋立〉・知識人もこぞって称賛「股のぞき」／・ケーブル設置で大衆向け名勝に／・海水浴で賑わう「夏の都」宮津
■第七章　世界の京都
〈世界の観光都市〉・全国初の専門部署、ＰＲ活動充実／・案内所からトイレまで市が設置／・都市性こそ古くて新しい「伝統」
あとがき「京都観光」の近代

綴じ込み付録
『洛東交通名所図絵』／『洛西交通名所図絵』
　吉田初三郎作図『洛東洛西洛南洛北　京都名所交通図絵』より

掲載情報他
『kotoba』2015年秋号（9/5発売）
より深く特集を読みたい人のための書籍ガイド
『毎日新聞』（京都版）8/23
京都・読書之森：大京都モダニズム観光／京都
『京都新聞』8/5
京都観光ブーム、発端は天皇の御大典　昭和初期の資料たどる
『月刊美術』2015年8月号（7/20発売）
ART BOOKS　新刊案内
『月刊京都』2015年8月号（7/10発売）
BOOKS　心に残った本、最新刊の本、話題の本を読む
『京都新聞』6/13朝刊
［凡語］

【プロフィール】
橋爪紳也（はしづめ・しんや）
1960年大阪市生まれ。京都大学工学部建築学科卒業、京都大学大学院工学研究科修士課程、大阪大学大学院工学研究科博士課程修了。建築史・都市文化論専攻。工学博士。現在、大阪府立大学21世紀科学研究機構教授、大阪府立大学観光産業戦略研究所長、大阪市立大学都市研究プラザ特任教授、国際日本文化研究センター客員教授。著書に『明治の迷宮都市』（平凡社・筑摩書房）、『日本の遊園地』（講談社）、『飛行機と想像力』（青土社）、『モダニズムのニッポン』（角川学芸出版）、『京阪神モダン生活』（創元社）、『ニッポンの塔』（河出書房新社）、『広告のなかの名建築　関西編』（鹿島出版会）、『瀬戸内海モダニズム周遊』（芸術新聞社）ほか多数。