展覧会案内驚異の三人!! 高松次郎・若林奮・李禹煥 ―版という場所で

驚異の三人!!
高松次郎・若林奮・李禹煥
―版という場所で


李禹煥 《Dialogue 2019 1》
2019年 木版 シロタ画廊蔵
© LEE Ufan, Courtesy of Shirota Gallery





世田谷美術館

東京都世田谷区砧公園1-2
tel.03-3415-6011
2020年4月18日(土)~2020年6月7日(日)
前期:2020年4月18日(土)〜2020年5月10日(日)
後期:2020年5月12日(火)〜2020年6月7日(日)
※会期中一部展示替えあり
※月曜休館。5/4(月・祝)は開館し、5月7日(木)は休館
10:00〜18:00
※入場は閉館の30分前まで
観覧料(当日):一般1,000円 65歳以上800円 大高生800円 中小生500円
※団体割等あり

◆開催中止

公式サイト:https://www.setagayaartmuseum.or.jp/

日本の現代美術を語るうえで常に重要な位置を占める、高松次郎(1936-1998)、若林奮(1936-2003)、李禹煥(1936- )。

三人とも立体と平面という境界を跨いで旺盛に作品を制作・発表している。そのなかでも、1970年代以降、積極的に「版」による表現に取り組んでいることは注目に値するだろう。

高松次郎は1980年代末にスクリーンプリントによる連作に取り組んだ。版の重ね合わせやインクの色を変え、そこから生まれる形を確認していく作業は、同時期の油彩作品の制作と関連したものと見ることができる。

若林奮は金属による彫刻とともに版画も数多く制作してきた。そのなかには、彫刻作品の一部分である線刻を施した銅板を版画作品の版としたものもあり、従来からの版画という枠組みにとらわれずに制作していたことが窺える。

李禹煥は今なお継続的に版画を手掛けて発表している。絵画よりも自分と距離を置くことができ、他者性が入るメディアである版画を中間項と考え、そこで試みたものを絵画に移そうとしている——とも語っている。

このように見ていくと、それぞれが「版」を媒介とすることで、制作についての思索を深化させていったともいえるかもしれない。

本展は、高松次郎の版画をまとめて鑑賞することができる初の機会となり、若林奮の彫刻と版画の関係を探る試みにもなり、昨秋に発表された李禹煥の新作版画も展観できる好機となる。三人の創造の軌跡を再考する「版」の世界を、楽しんで欲しい。